穀物として利用される種―Amaranthus hypochondriacus
Amaranthus hypochondriacus(アマランサス・ヒポコンドリアクス)が持つ「Prince of Wales Feather(プリンス・オブ・ウェールズ・フェザー)」という通称はイギリスにおいて王子に与えられる称号の紋様が持つ羽のこと。
その紋様を形作る羽とこの植物の花の姿を人は重ね、Amaranthusという植物の力強く直立した姿をその名で表したのかもしれません。
中央アメリカ・北米原産で、アメリカ中部からメキシコにかけてのかつてアステカ帝国があった乾燥熱帯バイオームに生育します。
花は夏から秋にかけて密集した尾状花序に咲き、通常は濃い赤紫色ですが、黄緑色の花を咲かせることもあります。
花後には長さ約1.5〜3mmの乾燥した果実が成り、熟すと裂けます。
果実の中には、他のAmaranthusと同様、直径約1mmのレンズ状の滑らかで光沢のある種子が収められています。
深い脈のある槍形の葉は裏面が紫色を帯び、直立した穂先に濃い深紅の花は密集して咲きます。
小種名の由来として、ギリシャ語の「hypo(下の)」「khondros(軟骨)」から発し、かつて憂鬱な病気をもたらすとされた肝臓や脾臓を暗示するとともに、花序の落ち着いた色合いを示しています。
この種は「grain amaranth」や「golden amaranth」とも呼ばれ、3種の穀粒用Amaranthusの共通祖先であるとされています。
植物として利用される種―Amaranthus caudatus
Amaranthus caudatus(アマランサス・カウダトゥス)
赤い小花がタッセル状に垂れ下がった穂に密集して咲く様子から「Love-lies-bleeding(愛が血をながして横たわる)」という英名でも知られ、インカ文明のアンデス高地、現在のペルー周辺を原産とする種です。
他のAmaranthusに比べ、海抜2,500mという高地でも生育できる種として知られ、海抜3,100mに至る地域において生育が可能といわれています。
この種は、成長後に長さ50cm、場合によっては90cmにも達する印象的な垂れ下がり式の花穂が最大の特徴で、遠目からは滴る血のようにも見え、密集した花穂の色は黒から赤まで様々。
各種子は光沢のある外皮をまとい、その内部には独特の構造が宿っています。
胚は種子の中心へ向かって伸びるのではなく、外縁に沿って環を描くように湾曲しながら内側の貯蔵組織を抱き込む特徴的な構造をしています。
その胚が包み込む中心の組織は、コムギやイネなどの一般的な穀物でおなじみの胚乳とは異なり、ペリスペルムと呼ばれる母体植物の組織に由来するアマランサス固有の栄養貯蔵庫です。
この種はエクアドル南部からペルー・ボリビアを経てアルゼンチン北部に至る帯状の地域に分布し、温暖な地域またはアンデスの渓谷で生育します。

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