韓国に咲くレンギョウ
Forsythia ovata(フォーサイシア・オバータ) 和名:チョウセンレンギョウ
朝鮮半島の固有種であるこの植物は、韓国の北東の地、江原道のペクトゥデガン(白頭大幹)山脈という半島を南北に貫く背骨の麓の森林地帯にだけ生息する種。
標高300から1,000mの林の中に密に広がるこの低木は、高さ2mほどに成長します。
韓国においてレンギョウは、ケナリ(개나리)という名で親しまれており、なかでもこの黄色い花は、冬の終わりを告げる「春の最初の使者」として長く愛されていました。
1971年、ソウルは市の象徴としてこの花を、市の花に選定しました。
Forsythia ovataの身体的特徴
早春、各葉痕から1輪ずつ、幅約2cmの明るい黄色の小さな花が静かに開きます。
他のレンギョウ属に比べて花は小ぶりですが、その佇まいには堂々とした静けさがあります。
葉は広卵形から楕円形、長さ4〜9cmで、基部がわずかに心形になるのがこの種の特徴です。
そしてこの種の最も際立った性質として、その耐寒性が挙げられます。
花芽はカナダ中央部の−40℃、あるいはそれ以下の厳寒にも耐えるとされていて、Forsythia属の中でも異常な寒さへの強さを保有しています。
ただ、この種の野生の姿は極めて限られています。
それはForsythia属の中で唯一、国際自然保護連合(通称 IUCN)によって絶滅危惧種に指定される程に。
2009年の調査では韓国の国境以南に5つの個体群が確認されましたが、2025年の最新の研究では江原道内に少なくとも9つの独立した個体群が記録されており、生息地の実態についての調査は今なお続いています。
春ごとに路傍を黄金色に染めるケナリ(개나리)の、その野生の祖先が、今も山の奥深くでひっそりと生きています。
中国に咲くレンギョウ
Forsythia giraldiana(フォーサイシア・ギラルディアナ) 中国名:秦連翹
1848年、ウィリアム・フォーサイスの死から44年後、イタリアに生まれたジュゼッペ・ジラルディ(Giuseppe Giraldi)は、フランシスコ会の修道士として中国の中央に位置する地、陝西省に赴き、布教の傍ら植物の採集を続けました。
1897年、彼は陝西省北部の山中でこの植物を初めて採集します。
その4年後、ジラルディは中国の地で没しました。
彼の名は、この植物の学名の中に永く刻まれています。
西洋への紹介はそれからさらに17年後のことです。
1914年、英国の植物収集家レジナルド・ファラーが、かつてジラルディが訪れた甘粛省南東部でこの植物を採集し英国へと送り届けました。
Forsythia giraldianaの身体的特徴
高さ5mに広がる大型の低木になるこの種は、枝は直立またはアーチ状に伸び、小枝は日光に当たると茶色から紫がかった色へと変貌します。
葉は狭卵形から披針形で、長さ4〜12cm、幅2〜6cm。
先は長く尖り、縁はほぼ全縁かわずかに細かなギザギザを持ちます。
早春、まだ葉が開かないうちに、各葉痕から1〜3輪の花が静かに開きます。
淡い黄色——プリムローズ色とも呼ばれる柔らかな色調——の花冠は幅25〜38mm、裂片は先端に向かって広がり、先で尖ります。
そしてこの種には、Forsythia属の中でも際立つ性質があります。花はかすかな香りを持つのです。
他のほとんどのレンギョウ属に香りが無いのに対し、この種の花だけはほのかな芳香を帯びています。
300年以上の歴史を持つ、英国王立植物園エジンバラも「バター色の黄色い花からかすかな香りを放つ」と記しており、Forsythia属の中で香りを持つことが知られる数少ない種のひとつです。
また属の中で最も早く開花する種のひとつでもあり、まだ冬の気配が残る早春の林の中で、静かに最初の黄色を灯します。


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